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アスベスト解体費用について

アスベスト(石綿)は、人体への影響が大きく、有害であることから、法律で取扱いが厳しく規制されています。そのため、アスベストに対する専門的な知識と豊富な経験を持つ業者に依頼して安全に解体工事を行うことが必要です。

解体費用の構成要素としては、廃棄物の適正な処理をするために、解体工事の労務費用以外に、廃棄物の処理費、運搬費、足場・養生費用がかかってきます。その結果、廃棄物の処理や運搬費用が全体の50%以上を占めることになります。

最安値などをうたった広告をよく見かけますが、その場合は解体労務費用のみの価格であり、廃棄物処理費や廃棄物運搬費、足場・養成費用などは削られていることが大半と考えた方がいいです。その結果、「廃棄物の不法投棄」などといった問題が起こるのです。

アスベスト解体工事を依頼する際は、必ず現地調査をして正確な見積もりを出してもらったうえで検討することをおすすめします。

■国土交通省による適正な解体および処理費用の目安

解体工事費用の目安は、解体する建物や構造、敷地面積、立地などによって異なってきます。敷地にトラックや重機が入ることができるか、足場は組めるかなどの近隣状況や、建物が木造か鉄骨かなどによって異なってきます。

また、アスベストは発じん性によってレベルが3段階に分類されます。その分類されたレベルによって解体工事の難易度が変わるため解体工事費用も異なってきます。

80㎡(約25坪)105~140万円

100㎡(約30坪)125~165万円

115㎡(約35坪)145~195万円

130㎡(約40坪)155~210万円

■発じん性によるアスベストのレベル

レベル1:発じん性が著しく高い

作業前には事前調査を行い、労働基準監督署へ「工事計画届」と「建物解体等作業届」の提出が必要です。また、都道府県庁へ「特定粉じん排出等作業届」と「建設リサイクル法の事前届」の提出もしなければなりません。作業にあたっては、必要事項を記載した工事を行う旨の看板を掲示し周囲へ告知し、負圧除じん機の設置などにより、飛散防止をすることが義務付けられており、作業員への特別教育や保護具の装着も義務付けられています。

・使用されている箇所:耐火建築物の柱や梁、天井、エレベーター回り

・建材の種類:石綿含有吹き付け材(アスベストとセメントを混合した状態で建築物に吹き付けられており、固まると綿のような状態になります。アスベストの濃度が非常に高く、撤去する際に大量に粉末が周囲に飛散するため危険度が高いとされています。)

・作業方法

  • 除去工法:「リムーバル工法」とも呼ばれ、既存のアスベスト含有吹付け材の層を下地から取り除く工法です。
  • 封じ込め工法:「エンカプスレーション工法」とも呼ばれ、既存のアスベスト含有吹付け材をそのまま残し、アスベスト層部分に薬剤をまくことにより表層部を覆い、アスベスト粉が飛散しないようにする工法です。
  • 囲い込み工法:「カバーリング工法」とも呼ばれ、既存のアスベスト含有吹付け材をそのまま残し、アスベスト層部分を板材などで完全に覆うことによりアスベスト粉が飛散しないようにする工法です。

・解体工事費用の目安:1㎡あたり1~6万円

レベル2:発じん性が高い

レベル1と同様に作業前には事前調査を行い、労働基準監督署と都道府県庁へ届出が必要となります。また、周囲へ解体工事が行われる旨の周知をするために看板の設置などによる注意喚起、飛散防止、作業員の保護が義務付けられています。レベル1との違いは、「労働基準監督署宛の工事計画届出がない」、「保護具がやや簡易的なものへと変わる」等があります。

・使用されている箇所:建築物の内壁や柱、ボイラー本体や配管、屋根用折板裏断熱材

・建材の種類:主に、石綿含有保温材や耐火被覆材、断熱材が挙げられます。壁や天井にシート状に巻き付けられているため、レベル1に比べると飛散性は下がりますが危険であるため注意が必要です。

・作業方法(レベル1と同様)

  • 除去工法:「リムーバル工法」とも呼ばれ、既存のアスベスト含有吹付け材の層を下地から取り除く工法です。
  • 封じ込め工法:「エンカプスレーション工法」とも呼ばれ、既存のアスベスト含有吹

付け材をそのまま残し、アスベスト層部分に薬剤をまくことにより表層部を覆い、ア

スベスト粉が飛散しないようにする工法です。

  • 囲い込み工法:「カバーリング工法」とも呼ばれ、既存のアスベスト含有吹付け材を

そのまま残し、アスベスト層部分を板材などで完全に覆うことによりアスベスト粉が

飛散しないようにする工法です。

・解体工事費用の目安:1㎡あたり1~6万円

レベル3:発じん性が比較的低い

解体工事前の事前調査は必要ですが、労働基準監督署と都道府県庁への届出は不要となります。また、解体工事を行う旨の周囲への注意喚起や建材の湿潤化は必要ですが、隔離養生や前室の設置などは必要ありません。作業員の保護具もより簡易的なものとなります。

・使用されている箇所:建築物の屋根材や外壁材、建築物の天井・壁・床などに内装材として使われる石綿含有成形板、ビニール床タイルなどが挙げられます。

・建材の種類:建築物の屋根材や外壁材、建築物の天井・壁・床などに内装材として使われる石綿含有成形板、ビニール床タイルなどです。

・作業の種類:手作業を中心とした除去作業

・解体工事費用の目安:30坪あたり20~40万円

■解体工事を行うまでの流れ

① 解体工事専門業者へ見積をとる

業者によっては金額に大幅に差が出る場合があります。上記でも述べたように、最安値をうたっていたり、異常に安い業者は、解体工事にあたる労務費用のみの提示の場合があるため、廃棄物の適正な処理をするために、解体工事の労務費用以外に、廃棄物の処理費、運搬費、足場・養生費用はどうなっているか、細かく見積りを提示してもらうことをおすすめします。

  • 解体業者による現地調査

詳細調査を行う前に、図面などの書面や発注者や工事関係者からのヒアリングから石綿の使用の有無に関係する情報を聞き取る書面調査を行い、それを元に現場にいって目視調査に入っていきます。目視調査では、内装や下地の内側など、外観からでは直接確認できない部分を含め、建材の使用箇所に漏れがないように注意します。2006年以前の建物の場合は、外壁や屋根等にアスベストが含まれている可能性があります。アスベストに関する知識がないと個人にてアスベストが使用されているかの調査はかなり厳しいです。そのため、アスベストが含まれているか否かは建築物石綿含有建材調査者や石綿作業主任者、日本アスベスト調査診断協会に登録された者などがいる専門業者に調査を依頼することをおすすめします。

  • 解体業者とご契約、事前準備、工事開始

事前準備として、解体等工事における石綿飛散に係るリスクや飛散防止対策の内容と効果などに関する正確な情報を、工事発注者または自主施工者と工事受注者が周辺住民や地方公共団体等関係機関と共有し、相互に情報や意見を交換して意思疎通を図らなければなりません。事前調査結果等の掲示については、大気汚染防止法等で義務付けられているため、必須となります。情報の共有や交換の方法としては、掲示やチラシの配布・回覧、戸別訪問による説明、説明会の開催などがあります。また、レベルによっては適した届出を行った上で工事に進みます。

  • 工事終了(現地の確認、工事代金のお支払い)

工事完了後、現地を確認し、契約書通りに工事代金を支払います。お支払い後、解体業者から建物滅失登記に必要な下記の書類一式をお受け取りください。また、アスベスト業者からは、関係役所に提出済みの「工事完了報告書」の写しを受け取ります。

【解体業者から受け取る書類3点】

・建物取毀証明書

・解体業者の資格証明書または会社謄本

・解体業者の印鑑証明書

  • 建物滅失登記の申請(郵送対応可)

解体工事完了後、1カ月以内に「建物滅失登記」を行う必要があります。法務局では郵送での受け付けもしております。建物滅失登記は、土地家屋調査士または司法書士に依頼すると3~5万円ほどの費用が掛かりますが、ご自身で滅失登記を行うこともできます。

■解体工事を行う旨の周知方法(環境省引用まとめ)

① 掲示による実施

大気汚染防止法では、解体等工事の開始前に、事前調査結果(特定建築材料(レベル 1、

2)の有無)や特定粉じん排出等作業の実施について掲示し、周辺住民等へ周知しなければならないことが定められています。これらの掲示は、周辺住民や通行人、周辺事業所、解体など、作業を行う建築物等の内部あるいはその敷地内で活動する人など、公衆が見やすい場所に設置しなければなりません。また、事前調査結果の掲示は、石綿の有無にかかわらず、解体等工事全体が終了するまで掲示するようにします。「石綿あり」の場合で石綿除去等作業が終了した際は、「石綿除去等作業終了のお知らせ」を解体工事全体が終了するまで掲示しておきます。

② チラシの配布・回覧で実施する場合

情報提供する事項を示したチラシを作成し、配布・回覧します。チラシは戸別に配布するか、自治会等の回覧板を活用します。

【チラシの配布・回覧で実施する場合の注意点】

・チラシは、説明会等の他の方法と比べ伝えられる情報量が限られる(A4 判 1 枚~A3

18判 1 枚程度)ので、誤解を招かないよう簡潔で、かつ、わかりやすい文章にする。

・周辺住民等が読みやすい量で、図表を有効に使い、伝えたい情報を的確にわかりや

すく記載する。

・工事発注者や工事受注者、自主施工者の連絡先を必ず明記し、周辺住民等が問

い合わせできるようにする。

・チラシの配布時に、訪問先の住民等がチラシの配布者を不審者と間違わないよう身

分証等を携帯する。

・チラシの配布時に、住民等に面会した場合は、チラシの内容についてわかりやすく説

明し、また、その時質問等を受けた場合は、誠意を持って対応する。その場でチラシ

の内容を十分説明できない場合は、後日改めて再訪して説明する旨を伝える(相手

の都合を確認しておくこと)。

・コミュニケーションの双方向性を高めるため、配布・回覧後の周辺住民等からの問い

合わせに速やかに対応できる体制を整えておく。

③ 戸別訪問による説明を実施する場合

工事発注者または自主施工者あるいは代行者が、周辺住民等を戸別に訪問し、石綿に関

する基本的事項や健康リスクの概要、事前調査結果、石綿除去等作業の方法等、石綿飛散

防止対策の内容等について説明を行います。「② チラシの配布・回覧」と同様のチラシを用いて説明することも可能です。

【戸別訪問による説明を実施する場合の注意点】

・説明者によって説明や応答内容が異ならないよう、事前にマニュアル等を作成し、内

容を統一させておく。

・訪問先の住民等が、訪問者を不審者と間違わないよう身分証等を携帯する。

・訪問先の住民が不在であった場合、チラシ等により周知し、後日改めて説明を求め

る場合の問い合わせ先や問い合わせ時間等をチラシ等に明示し、不在者からの質

問に対応できるようにする。

・訪問先での説明や応答に困らないよう、事前に説明・応答のマニュアルや想定問答

集を作成しておくとともに、リハーサル等を行う。

  • 説明会を実施する場合

説明会では、周辺住民等に集まっていただき、環境省のガイドラインに示した事項について説明を行い、それに対する質疑応答や意見交換などを行います。説明会の開催を工事受注者や建設コンサルタント会社、解体をサポートする会社などの代行者に委託した場合でも、説明会開催の責任者はあくまでも工事発注者または自主施工者となりますので、代行者と協議しながら内容を十分把握するとともに、説明会当日には必ず出席する必要があります。また、説明会では、専門的な内容に及ぶ場合もあり、そこでの説明や回答がその後の信頼構築に大きく影響を及ぼす場合もあるので、事前調査を実施した調査会社や石綿やリスクコミュニケーションの専門家に同席してもらうことも有効です。

  • その他の方法で実施する場合

その他の方法としては、ホームページなどのメディアを活用した方法等があります。

自治会が、自治会員に対する周知手段としてホームページを使用している場合は、それを

活用することも可能です。工事発注者(企業等の場合)あるいは工事受注者のホームページを活用する場合は、事前に地方公共団体等関係機関のほか、必要に応じて自治会長等と相談し、実施するか否かを検討します。なお、ホームページ等を活用しても、それだけでは周辺住民等への周知が十分とは言えないため、①~④による手段を併用する必要があります。